北海道電力 泊(とまり)原発3号機 が 営業運転再開

北海道電力 泊(とまり)原発3号機の営業運転再開が迫っていた8月12日、年金者組合彦根・愛犬支部は、北海道知事と北海道電力に緊急FAXを送り、営業運転を再開しないよう求めました。

しかし、北海道の高橋はるみ知事は 昨日8月17日の会見で、北海道電力泊原発3号機の営業運転再開について容認する意向を 正式に表明しました。

経済産業省は、知事からの連絡を受け次第、検査終了証を北海道電力に交付。

これで 現在の調整運転から営業運転へ切り替わります。

福島第1原発事故以来、検査中の原発が営業運転を再開するのは初めてです。

この問題で、多くの商業新聞の全国紙が肯定する中で、地元の北海道新聞が批判的な社説を掲載しましたので、その全文を転載します。


北海道新聞の8月18日付け社説 「知事 泊同意 安全と言い切れるのか」 

 調整運転中だった北海道電力泊原発3号機について、高橋はるみ知事は 政府に営業運転再開への 「同意」 を伝えた。

 3号機は、福島第1原発の事故後では全国で初めて、定期検査から営業運転に移行した。

 知事は記者会見で 政府に対し、責任を持って安全対策に万全を期すとともに、原発立地地域との信頼関係を損なうことのない、誠実で丁寧な対応を求めた。

 それは、知事自身に跳ね返ってくる言葉でもあることを、忘れないでもらいたい。

 「同意」という形で再開にお墨付きを与えた知事には、政治的な責任があるからだ。

 ここに至るまでには 経済産業省との間で行き違いもあった。

 しかし、結局は両者が 「はじめに再開ありき」 で手順を踏んできたと 解釈せざるを得ない。

 3号機は 3月に調整運転に入り、4月には 最終検査を受ける見込みだったが、 福島の事故で先送りされ、 調整運転が5カ月も続く 異常な状態が続いていた。

 事故を踏まえれば、この間に運転をいったん止め、安全対策を徹底的に点検する選択肢もあったはずだ。

 残念ながら、政府にも知事にもそうした発想はなかった。

 むしろ、営業運転に移行して異常事態を解消するタイミングを計っていたようだ。

 知事は早くから、営業運転再開を容認する考えをにじませてきた。

 経産相に出した質問状も、営業運転再開が再稼働に当たるのか、ストレステスト (耐性評価) は 稼働中の原発で行う2次評価になるのかなど、3号機の稼働を前提にしていた。

 知事は、原子力安全・保安院の指導を受けて 北電が3号機の最終検査を申請したことを 「地元軽視」 と強く反発した。

 ただ、 憤ったのは 政府が道の頭越しに物事を進めたことに対してであって、3号機の安全性確保への疑問では なかった。

 だから、原子力安全委員会による、形式的とも言える保安院最終検査の 「ダブルチェック」 にも理解を示したのだろう。

 これで 道民の安全を守れると 言い切れるのか。

 福島の事故以来、道民には原発事故に対する不安が 高まっている。

 15日には、道内9大学の教授、准教授50人が 「3号機の無条件の営業運転再開は容認できない」 として、 道と周辺4町村が結んでいる原子力安全協定の範囲を拡大することなどを 求める緊急声明を発表した。

 今後は定期検査中の1号機や、近く検査に入る2号機の再稼働問題も出てくる。

 知事は指摘を真摯(しんし)に受け止め、道民の声に広く耳を傾けるべきだ。