仏教徒が平和を誓う
8月21日に書き込みましたように、滋賀県 愛知(えち)郡 愛荘町(あいしょうちょう)の 秦荘東(はたしょうひがし)仏教会 「四恩会」(しおんかい) が 「第17回仏教徒平和のつどい」 を 開きました。
今日は、「全戦没者追悼法要」 で、四恩会の安孫子義昭会長(年金者組合彦根・愛犬支部副委員長)が述べた 「表白」 (ひょうびゃく) の全文を紹介します。
表白
敬って 阿弥陀如来の尊前に申し上げます。
本日 ここに 四恩会主催 『第17回仏教徒平和のつどい』 を開催し、有縁の方々と共に 全戦没者追悼法要をおつとめいたします。
謹んで思いますに、三界は火宅無常であり 衆生の煩悩はいよいよ盛んであります。
親鸞聖人は 「さるべき業縁のもよおさば、いかなるふるまいをもすべし」 と この身の悲しさを お述べになっています。
かえりみますと、人類の歴史は、戦争の歴史であり、とりわけ、20世紀は戦争が絶え間なく繰り広げられ、数え尽くせないほど多くの尊い生命が失われてきました。
仏教界も教義をねじ曲げてまで、国の戦争遂行政策に加担し、門信徒を戦場に送り出すのに一役を担う過ちを犯しました。
我が国の近代も、正に戦争に明け暮れた時代でありました。
今からちょうど80年前の1931(昭和6)年9月18日に、中国大陸において「満州事変」を引き起こし、日中戦争へと拡大、さらに70年前の1941(昭和16)年12月8日には太平洋戦争に突入、
1945(昭和20)年8月15日に 日本の敗戦によってようやく戦争が終結するまで、15年もの長きにわたって、敵味方の兵士はもとより、一般の人々、朝鮮半島、中国大陸、東南アジア諸国の人々を戦渦に巻き込み、おびただしい犠牲者を出しました。
今年3月11日に発生した戦後最大の東日本大震災、そして いまだ収束のめどがまったく立たない東京電力福島原発事故により、放射能の恐怖を3度味わうこととなりました。
「聖戦」と称して国民を侵略戦争に駆り立て、偽りの「大本営発表」で勝利を信じ込ませ、本土決戦まで引きずり込もうとした戦前の国家体制が、国民主権の民主政治制度に変わっても、
原発では 「安全神話」 をマスコミ総動員で振りまいて批判を封じ込めてきた点では、変わりがありません。
子どもたちの未来を脅かし、地球自然環境の破壊につながるようなことは、厳に慎しまなければなりません。
戦争は、実に人類最大の罪悪であり、愚行であります。
そこには個人の自由や、人間性や、あらゆるものの生命の尊厳など顧みることのない、修羅と地獄の世界が現出します。
私たちは、こうした愚かな行為を再び繰り返さない道を、慚愧の心と共に仏法に学ばなくてはなりません。
本日の法要により 私達は 亡くなられたすべての方々を思い、追悼の心を新たにすると共に、その悲しみを 痛みを ただ肉親の情にとどめず、国を超え、民族を超えた思いとし、非戦平和への行動として表さねばなりません。
日本国憲法の前文には、「われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、
政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、
ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」 とあって、
「もう二度と戦争はしないという、第九条ができてから、日本国家が 国として よその国の人を殺したり、武器を造ってよその国に売ったりはしていません。
世界でもこんな国は、まれです。胸を張っていい」
作家の井上ひさしさんが 「子どもにつたえる日本国憲法」 に書いています。
今 この集いに参加する人々とともに、全ての戦争犠牲者が等しく願われたであろう 「兵戈無用」 すなわち、「軍隊も武器も要らない真の世界平和」 と、
「怨親平等」 すなわち、「敵も味方もないお互い兄弟姉妹として、いのちを共にし、敬愛し合う社会」 の実現を願い、
仏祖の遺弟としての自覚を持って、常に如来の御本願を仰ぎ 聞法するとともに、
真の平和と安穏の世界の実現に向かって努力精進をいたすことを決意し、ここに全戦没者追悼法要を厳修いたします。
2011年8月21日
四恩会会長 安孫子義昭 敬って申し上げます。