愛知県保険医協会理事長が 「 社会保障と税の一体改革 」 を 語る

愛知県保険医協会の板津慶幸副理事長が「社会保障と税の一体改革」について語っています。(2012.01.25)(こちら


板津副理事長に聞く

 政府・与党は、1月6日、消費税率を2014年4月に8%、15年10月に10%に引き上げることを柱とする「社会保障と税の一体改革」素案を正式に決定した。

 素案に盛り込まれた内容は、24日からの通常国会で法案審議や予算審議を通して、順次具体化されることになる。

医療機関にも、国民にも大きな影響を与える「社会保障と税の一体改革」について、板津慶幸副理事長に聞いた。

大義なき消費税増税

――政府は、とうとう消費税増税を決めましたが。

板津:政権交代を果たした2009年総選挙の民主党マニフェストには、消費税引き上げはどこにも書かれていません。

4年間は消費税を上げることはないと約束していたことです。

中日新聞(1月5日付社説)にも「大義なき消費税増税」と批判されています。

――消費税はみなが負担するから公平では。

板津:税金は、本来所得の多い人ほど高く負担する「累進制」が公平とされています。

ところが、消費税は衣食住の費用に一律にかかるため、低所得者ほど負担が高くなる「逆累進制」となります。

福祉を必要とする低所得者により負担を求めるという点では「反福祉的」な不公平な税制です。

――社会保障財源のために消費税を上げざるを得ないとの声もありますが。

板津:消費税を導入した時も、3%を5%に引き上げた時も、「社会保障に使う」、「福祉のため」と説明されてきましたが、

消費税が導入された1989年以降の実態は、社会保障が良くなるどころか、改悪の連続です。

 導入後の22年間で、消費税の税収は224兆円となりますが、同期間の法人三税は208兆円減少しています。

結局、法人税減税の穴埋めに消費税が使われてきたのです。

――消費税増税の景気に与える影響が心配されます。

板津:1997年に5%に引き上げられた時、消費税で5兆円、健保2割負担化で2兆円、特別減税廃止で2兆円、合計9兆円の国民負担増で、回復しかけていた景気がどん底に落ち込みました。

 今回の消費税増税額は、13兆円、年金改悪と合わせた負担増は16兆円と、とてつもない額です。

ますます個人消費が冷え込み、景気への悪影響は計り知れません。日本経済を破壊する消費税増税は、暴挙と言わざるを得ません。

――消費税に代わる財源は

板津:まずはムダ遣いを止めることです。

原発推進予算(4200億円)、民主党マニフェストで中止を明記した八ッ場ダム(来年度予算で135億円、総事業費4600億円)、

世界一高いと言われる東京外環環状道路(2兆円)、

負担義務のない思いやり予算など在日米軍経費(2600億円)、

政党助成金(320億円)などをきっぱり止めるべきです。

 歳入面では、内部留保を増やし続けている大企業に対する法人税の5%引き下げ(1兆2千億円)は中止すべきです。

資本金10億円以上の大企業が保有する内部留保は、この10年で90兆円も増やし、総額266兆円に達しています。

 また、大資産家に対する証券優遇税制の延長(5千億円)は直ちに止めるべきです。

年金者組合も愛知県保険医協会板津慶幸副理事長の見解と全く同じです。

幅広い国民と力を合わせて、消費税増税を阻止しましょう。