福井原発の廃止を求めデモ行進

滋賀県民要求実現実行委員会は今日5月31日、「福井原発の廃止」等を求め、JR膳所駅前で集会を開いた後、関西電力滋賀支店までデモ行進を行った。

年金者組合などの加盟団体から約80人が参加。

参加者はデモ行進中、「福井原発は停止せよ!」 「原発で琵琶湖を汚すな!」 「自然エネルギーに切りかえよ!」等とシュプレヒコール


関西電力滋賀支店で八木誠社長宛の要請書を手渡した。


要請書の要旨は次の通り。


 いま国民は、人間の手で制御できない原子力発電の根本的な危険性を見抜き、再生可能(自然)エネルギーへの転換を求め始めました。

滋賀県民の間では、若狭湾周辺にある「原発銀座」〔全国57基の原発のうち15基(廃炉中1炉を含む)がある〕への底知れぬ不安が広がり、高浜・美浜・大飯の11基の原子力発電所を所有する貴電力会社へのさまざまな要望が渦巻いています。

 以上の事態を踏まえて、私たちは下記のことを要求します。

                記

(1)基本姿勢の転換

 今回の事故を直視し、原子力発電に対する安全神話から抜け出し、「原発「安全なもの」から「危険きわまりないもの」であるとの認識に根本的に切り変えること。

 また、他社と比較しても高い割合となっている原発に依存する電源政策(営業方針)を転換し、撤退する方向を明らかにすること。

事故直後に行われた、社長の原子力発電推進」宣言は国民・県民の感情を逆撫でするものであり、安全を願う思いへの「挑戦」でもある。

社長発言は直ちに撤回すること。

なお、美浜に設置されている「美浜原子力PRセンター」については基本コンセプトを見直すこと。

(2)根本的な対策ならびに当面の具体的要求

1.核燃料の制御と放射性廃棄物の処理という2つの根本技術の未確立が実証された現時点で、原子力発電事業への依存からの転換と撤退の方向を明らかにし、そのためのロードマップを作成すること。

2.現在、点検のために停止している「原発」4基(美浜1号炉、3号炉)(大飯3号炉)(高浜1号炉)は再開しないこと。

3.人類が遭遇した地球上で最も危険な物質といわれるプルトニュウムを燃料とするプルサーマル運転は中止すること。

高浜原発3号炉は直ちに中止し、今後予定されている高浜原発4号炉、大飯原発1号〜4号炉の計画は中止すること。

4.危険度の高い老朽化した原子力発電所廃炉とすること。

すでに築40年を経過した超老朽「原発」である美浜1号炉は直ちに廃炉し、耐用年数の築30年を経過している老朽「原発美浜原発2号炉、3号炉、大飯原発1号炉、2号炉ならびに高浜原発1号炉、2号炉も廃炉にすること。

続いて、すでに築26年を過ぎている高浜原発3号炉、4号炉も廃炉計画を立て、これを進めること。

5.当然、これに伴っての新規増設はしないこと。

6.今回の地震津波の大きさを一つの前提にして、地震の揺れの大きさと津波の高さと事故の可能性に関する想定を見直し、それをもとに新しい安全基準をつくること。

国における「安全基準」の見直しや改定を待たずに独自に策定し、必要な工事を行うこと。

 現時点での地震の想定は日本原子力発電(株)が設置する敦賀原発1号炉、2号炉で650ガルとされており、美浜原発1号炉、2号炉、3号炉では750ガルとされているが、今回の東日本大震災では2,933ガル、2011年ニュージランド地震で940ガル、2004年の新潟県中越地震では1,700ガル、1995年阪神淡路大震災で800ガルであったことからも、その耐震性は極めて「甘く」不十分なものであることは明らかである。

また、津波対策についても最大波の想定は美浜原発1号炉〜3号炉で1.53〜1.57メートル、高浜原発1号炉〜4号炉では、わずか0.74〜1.34メートル、大飯原発1号炉〜4号炉で1.66〜1.86メートルとされている程度である。

 こうした想定は、「大きな地震は起こらない」、「日本海津波は起こらない」という根拠のない「神話」を前提にしているが、その根本には「安上がり」で「安全にコストは掛けない」という思想の現れであり「利潤第一主義」に基づくものと言わざるをえないものである。

 敦賀原発の敷地内に浦底断層、美浜原発直下にも活断層があり直下型の大きな地震動か予想され地震関係の専門家からは「浜岡に次いで危ないのは福井原発と警鐘がすでに鳴らされている。

専門家集団の英知を集め事業者の責任で新しい安全基準を作成し、これに基づく「原発」の総点検を実施し、危険な原発は直ちに停止し、必要な施設整備を行うこと。

.原発」の停止、廃炉に伴う電力エネルギーの供給には予備の火力発電所水力発電所などをフル稼働させるとともに「節電」などの協力を県民に呼びかけること。

この場合、医療などの施設に対する配慮を行い、企業などの大口電力消費者には別料金体系により「節電効果」が上がる実効措置を講じること。

(3)防災などの対策について

 危険な「原発」の中止、停止そして、廃炉に向かうにしても一定の年限を要するためこの間の防災対策を講じなければならないことは言うまでもない。

この場合、過酷事故が起こった場合を想定して必要な、あらゆる措置を講じることが基本である。

そのため、

1.事故が起きた場合、緊急事態を県民に正確に機敏に伝える情報伝達のシステムを確立しておくこと。

2.放射線量を測定するモニタリングは琵琶湖を含む県内全域に細かく設置し、県内各地の放射線量が時々刻々と示される放射線地図を作成しインターネットなどに流す隋報システムを構築すること。

3.県下のすべての家庭に必要なヨウ素剤を配布できるよう保健所や自治体支所に備蓄することを自治体と共同して進めること。

4.原発施設内で働く労働者の安全と健康に万全を期すること。作業員は子会社や他社からの派遣ではなく、原発の危険性や安全管理を熟知した自社の社員を当てること。

そのための安全教育を徹底すること。

5.福井原発隣接する自治体(県ならびに市)による立ち入り検査権と災害補償に関する実効ある安全協定を締結すること。

(4)その他の事項

1.今回の、福島「東電」の原発事故を通じて、電力会社の体質・・長く被災者に謝罪にも行かない、緊急の補償要求に対する官僚的な態度・対応などを通じて「加害者意識の欠如」「隠蔽体質」「不遜」「騎り」の体質を目の当たりにして、国民の怒りが高まっている。

それは、国策として推進されてきた「原発」政策と、そこに集まる「原発ムラ」といわれる産・官・学の癒着の構造など「護送船団」方式の中で培われてきたものであることは明らかである。

天下り官僚」の存在も明らかになった。

この経験を踏まえ、私たちは電力各社にある体質の改善を要求する。

2.開かれた電力事業者となるため、国民の声に耳を傾ける謙虚な姿勢とともに各社が安全で効率的で地域経済を豊かにする総合的な電力供給システムについて検討を進め、これを推進することに寄与することは重要な社会的責務である。

私たちは、発電と送電についての「一括独占」から「分離」によるエネルギー政策の新しいシステム構築への国民的議論を進めるべきと考える。

こうした議論を進めるために求められる必要な情報提供などに協力を行うこと。

                                以 上