「社会保障と税の一体改革」 による社会保障改悪と 消費税増税に反対する声明

 全日本年金者組合は7月1日、「社会保障と税の一体改革成案」についての「声明」を発表しました。

声明文は次の通りです。

 
 社会保障と税の一体改革」による社会保障改悪と消費税増税に反対する声明

 去る6月30日政府は、「社会保障と税の一体改革成案」(以下「成案」という)を決定しました。

これは、社会保障を改悪する上に消費税増税をはかるものであり、強く反対し抗議するものです。

「成案」は、「社会保障安定財源」を「消費税を主たる財源」とするとし、消費税を「社会保障目的税」とすることをうたい、「まずは、2010年代半ばまでに段階的に消費税率を10%まで引き上げ」るとしています。

これは、当面の5%増税にとどまらず、際限のない消費税増税を意図したものにほかなりません。

 消費税は、食糧などの生活必需品、つまり生活費に課税し庶民を苦しめる、社会保障財源に最もふさわしくない税制です。

同時に、中小企業・業者の営業を脅かす一方、輸出大企業には莫大な還付金をもたらす最悪の不公平税制です。

社会保障財源は、応能負担の税制をはじめとする「所得再分配」によって確保すべきものです。

消費税増税は、何としても阻止しなければなりません。

 また、「成案」の「社会保障改革」は、「自助」「共助」を強調し、憲法25条がうたう国の責任を放棄し、不十分な「貧困・格差対策」と引き換えに「給付の重点化・制度運営の効率化」を名目に重大な負担増と給付の引き下げを打出しています。

 年金の「現行制度の改善」では、「年金財政持続可能性の確保」のためとして年金の支給開始年齢の引き上げと「デフレ経済下」での「マクロ経済スライド」適用を打出しました。

今でも国民年金(老齢基礎年金)支給開始年齢の65歳を待ちきれず繰り上げ支給を選択し、低い年金額をさらに低下させている高齢者が少なくありません。

さらなる引き下げなど許されません。

「デフレ経済下」での「マクロ経済スライド」適用は、「物価スライド」・「賃金スライド」による年金引下げに、少子化・長寿化による年金引下げを加えるものです。

2004年「改革」で「100年安心」と宣伝された年金財政維持を困難にしたのは、先進国で唯一の長期にわたる賃金低下のためです。

年金財政維持は、際限のない年金切り下げでなく、賃金を引上げ内需拡大の経済運営で図るべきです。

 全日本年金者組合は、社会保障の改悪と消費税増税をはかる「社会保障と税の一体改革成案」に反対し、社会保障の改善に向けて全力で奮闘するものです。  

2011年7月1日

全日本年金者組合 中央執行委員長 篠塚多助