年金者組合の請願書についての 彦根市議会における発言


年金者組合 彦根・愛犬支部は、昨年9月8日、彦根市議会に 次の請願書を 提出しました。

請願第6号 「 年金受給資格期間の10年への短縮を求める請願 」

請願第7号 「 消費税によらない最低保障年金制度の創設を求める請願 」

請願第8号 「 無年金・低年金者への基礎年金国庫負担分3万3千円の支給を求める請願 」

請願第9号 「 0.4%の年金引き下げをもとに戻すとともに、物価指数による年金引き下げを行わないこと求める請願 」

請願第10号 「 国民への負担増をあらたに強いる 『 社会保障 ・ 税一体改革成案 』 に 反対し、社会保障の充実・改善をもとめる請願 」

年金者組合が提出したこれらの請願は 昨年9月16日、彦根市議会 市民産業建設常任委員会で審査が 行われました。

そのうち、請願第6号 年金受給資格期間の10年への短縮を求める請願 に ついての発言を紹介します。

山内善男さん(日本共産党

世界的にも、 日本の受給資格期間25年というのは 長過ぎる期間だと 言われています。

ちなみに ドイツは5年、 イタリアも5年、 イギリスは 男性が11年、 女性が 9.75年です。

そういう点でいっても、 この請願事項、 受給資格期間25年から10年への短縮というものは、 世界的な比較においても 非常に遠慮気味な要求ではあると 思います。

せめて ヨーロッパ並みの受給資格期間の中で、 本当に安心して生活できるという状況を 政治が保障する必要があるという観点から 賛成いたします。


矢吹安子さん(民主党系会派「夢みらい」)

第6号に対しまして、反対をさせていただきます。

政府は 社会保障 ・ 税一体改革成案を 平成23年6月30日に 決定いたしました。

社会保障給付の全体を整理するとともに、 地域や個人の多様なニーズに的確に対応できるよう、 各種サービスのワンストップ化を初め、 制度の簡素化や質の向上を 推進していくと 言われています。

その財源については 2010年代半ばまでに 段階的に 消費税率を10%まで引き上げ、 当面の社会保障改革に係る安定財源を 確保すると 記載されています。

請願第6号の 年金受給資格期間短縮については成案でも 必要性は 提起されていますが、

25年から10年への短縮に対しては 消費税問題もこれからであり、 財源確保ができていないため、 請願第6号に 反対いたします。


市民産業建設常任委員長(馬場和子さん)

請願第6号 年金受給資格期間の10年への短縮を求める請願は、 採択すべきものと決することに ご異議がございますので、 起立により採決いたします。

請願第6号は 採択すべきものと決することに 賛成の皆さんの起立を 求めます。

起立多数で あります。

よって、 請願第6号は 採択すべきものと 決しました。


昨年9月22日の彦根市議会 本会議の討論から、年金者組合提出の請願に関する発言を 紹介します。


小川喜三郎さん(民主党系会派「夢みらい」)

請願第6号から請願第10号までの反対討論を 行います。

いずれも 「 社会保障 ・ 税一体改革成案 」 に 基づくもので あります。

請願第6号では、 年金受給資格期間の10年への短縮を求めるものですが、 受給資格の短縮は 必要であると考えますが、 25年を10年に 短縮することには 反対と いたします。

請願第7号については、 財源を消費税に求めない最低保障年金制度の創設を 求めるものであり、

社会保障 ・ 税一体改革成案 」 は2010年代半ばまでに 消費税を 10%まで 引き上げる財源を 確保しようとするものであり 、財源の確保が 必要であり 反対するもので ございます。

請願第8号は、 最低保障年金実現までの救済策として、 基礎年金国庫負担分の 3万3000円に満たない部分を 無年金 ・ 低年金者に 支給することを 求めるものであり、

請願第9号は 0.4%の年金引き下げを元に戻すものですが、 現下の日本経済は デフレ下にあり、 マクロ経済スライドをすることは 当然と考えることから 、請願第8号 および 請願第9号にも 反対いたします。

請願第10号は、 「 社会保障 ・ 税一体改革成案 」 に 反対し 社会保障の充実 ・ 改善を求める請願ですが、

社会経済諸情勢の大きな変化を踏まえ、 安心して生活ができる社会基盤を整備するという社会保障の原点に立ち返り、

その本源的機能の復元と強化を図ることとし、 機能の充実と徹底した給付の重点化、 制度運営の効率化を 同時に行い、

真に 必要な給付を確実に確保しつつ 負担の最適化を図り、 高機能で中長期的な持続可能な制度を 実現するものであります。

このため 社会保障の安定財源の確保として、 国民が広く受益する社会保障の費用をあらゆる世代が 広く公平に分かち合うため、

その使途を明確にし、 消費税を財源とするもので ございます。

このことから、 「 社会保障 ・ 税一体改革 」 は 推進されるものと考えるものであり、 請願には 反対するものであります。


山内善男さん(日本共産党

請願第6号から 請願第10号、 年金関連の請願ですので、 一括して 賛成討論を行います。

全体として、 年金を高齢者や被災者に対して まともに生活できる年金として 支給するよう求めているのが この請願です。

根拠については、 一つには、 物価指数が主として IT機器など 高齢者の生活と関係の薄いものであり、 生鮮食料品などが 高どまりしていること、 物価上昇も始まっていること。

二つ目には、 年金課税の強化と医療 ・ 介護保険料の連続的な引き上げなどにより 高齢者の貧困が増して、 熱中症死や孤独死などが 深刻になっていること。

三つ目に、 年金引き下げは 障害者などへの給付など 弱者を直撃すること。

四つ目には、 年金引き下げが 国内消費を冷え込ませ、 景気回復を妨げること。

五つ目には、 社会経済情勢を考慮して、 引き下げを凍結した前例に従うべき情勢にあることなど、

多くの高齢者の皆さんや 被災住民の皆さんや 弱者の救済に 全力を挙げて 政府が取り組まなければならないときに、 年金も その一環であるという考え方から、

このような年金に対する手厚い保障を 政府として行うことを 要望するものです。

さらに、 全体として共通していることは、 政府の税と社会保障の一体改革の中で、 社会保障の一つである年金について 財源を消費税で賄おうとしていることから、

消費税の考え方について、 また 税と社会保障の一体改革について言及し、 賛成討論といたします。

政府は、 税と社会保障の一体改革の名で、 2010年代半ばまでに 消費税率を10%まで引き上げる法案を 来年3月までに 国会に 提出するとしています。

しかし、 一体改革と言いますが、 この改革で 社会保障は よくなるのでしょうか。

政府が 6月に決定した方針では、 医療では、 現行の医療費の3割負担に加えて、 外来受診のたびに 定額負担を上乗せする、

年金では、 支給開始年齢を 68歳ないし70歳まで引き上げるなど、 社会保障切り捨てのオンパレードと なっています。

その一方で、 国民に対して あれだけマニフェストで 約束した後期高齢者医療制度の廃止の公約は 影がありません。

消費税を 10% に上げて、 社会保障を悪くする。 これが 政府一体改革の中身です。

消費税は 格差の拡大に 追い打ちをかけ、 貧困に さらに 拍車を かけます。

貧困と格差を本気で問題にするなら、 消費税増税は中止して、 能力に応じて税を負担する。

このような原則に立って、 税制と社会保障のあり方を 土台から 再構築することが 望まれます。

5兆円にも上る軍事費の削減、 年間二千数百億円にも上るアメリカ軍への思いやり予算の削減、 証券優遇税制の見直し、 政党助成金の廃止、 何と言っても 大企業の250兆円にも上る内部留保の活用が 求められます。

こういった財源の確保で、 国民に対して 安心した社会保障を充実する。

とりわけ 年金の安心した保障で 暮らしを保障していくことが 政治に求められています。

 以上、 請願第6号から 請願第10号、 年金関連の賛成討論といたします。 議員各位の賛同をよろしくお願いいたします。


議長(渡辺史郎さん) 

請願第6号年金受給資格期間の10年への短縮を求める請願を採決します。

本請願に対する委員長報告は採択であります。

本請願を採択することに賛成の諸君の起立を求めます。

起立多数であります。よって、本請願は採択と決しました。


次に、採択された請願に 基づき提案された意見書案の提案説明を 紹介します。


山田多津子さん(日本共産党

意見書案第6号 「 年金受給資格期間を 10年に短縮を求める 」 意見書案について、 提案説明を行います。

年金を受給するために必要な期間を 受給資格期間と 言います。

そして、 原則として 国民年金に加入している期間が 合計で25年以上必要になってきますけれども、

公的年金の加入期間が 受給資格の得られる25年に満たずに無年金となっている人や 今後加入を続けても受給権を得られない人が推計で 118万人に上ることが 社会保険庁のまとめで判明しました。

これらの人は 今後 保険料を払っても年金をもらえず、 これまで納付した保険料は 戻ってこない。

このほか、 今後 任意加入の制度を利用して 70歳になるまでの間に保険料を払えば 受給資格期間を満たせるものの 現時点では 25年に満たない人が、 65歳以上で 93万人いることも 判明しています。

現在および将来にわたって 無年金や低年金者も入れると、 800万人を超えるという数字も 推計されています。

この問題の解決は、 国民の老後の生活保障の上からも 喫緊の課題と なっています。

そのために 国民を豊かにして、 だれでも 年金保険料を払えるようにすること。

さらには 最低保障年金制度の創設が 必要となってきます。

しかし、 無年金者を多くしている原因の一つが 長過ぎる受給資格期間であり、 短縮を各政党や団体が求めてきているところです。

海外の保険料納付最低加入期間は、 イギリスでは男性が 11年、女性では 9.75年となっています。

ドイツやイタリアでは 5年、 アメリカ、 韓国では 10年、 フランスではなしと なっています。

給付資格を得るための給付期間の現実的なラインでの見直しが、 この点からも 急務と言えるのではないでしょうか。

年金の受給資格期間短縮の必要性は、 社会保障 ・ 税一体改革成案でも 提案されています。

この問題に関しては 既に 国民的な合意が できています。

速やかな具体化、 法案化が 求められます。

よって、 年金受給資格 25年から10年への短縮を 早急に 法案化することを 政府に 強く求めるものです。

議員各位の賛同を お願いし、 提案説明と いたします。


議長(渡辺史郎さん)

意見書案 第6号 「 年金受給資格期間を 10年に短縮を求める 」 意見書案を 採決します。

本案を原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を 求めます。

起立多数で あります。

よって、 意見書案 第6号は、 原案のとおり 可決されました。


採択された請願と意見書の全文はこちら


なお、年金者組合が提出した請願書のうち、次の4通は 賛成少数で不採択となりました。

請願第7号 「 消費税によらない最低保障年金制度の創設を求める請願 」

請願第8号 「 無年金・低年金者への基礎年金国庫負担分3万3千円の支給を求める請願 」

請願第9号 「 0.4%の年金引き下げをもとに戻すとともに、物価指数による年金引き下げを行わないこと求める請願 」

請願第10号 「 国民への負担増をあらたに強いる 『 社会保障 ・ 税一体改革成案 』 に 反対し、社会保障の充実・改善をもとめる請願 」