「 放射能汚染ガレキの広域処理をどう考えるか 」 小出裕章さんの見解

 今朝のNHKテレビで、放射能汚染ガレキの広域処理問題を取り上げていました。

この番組では 東大教授なる人物と NHK解説委員が 中途半端な自論を展開、

結局、 何の解決にもならない、 何の参考にもならない内容で 終りました。

日本科学者会議 滋賀支部主催 「 原発関係連続講演学習会 」 (5月19日) で

大阪市立大学教授の畑明郎氏が述べた 「現地処理は可能」 と いう点には 触れられませんでした。

「ガレキを 全国にばら撒くと、 輸送費だけで 約2000億円、 全体で 約1兆円かかる。

こんな無駄な金を使わずに、 現地にプラントを作り、 分別して処理すれば、 現地の雇用も うまれる。

阪神淡路大震災のガレキは 2000万トンで、 3年以内に 現地で 処理できた 」 と いう説でした。

因みに 今朝の番組でも、 ガレキの総量は 1680万トン(環境省調べ)で、 岩手 ・ 宮城で処理できない量は 247万トン だと言っていました。

阪神淡路大震災のガレキ 2000万トン を 3年以内に現地で処理した実績があるのに、

今度は 247万トンを なぜ 全国に ばら撒かなければならないのか、この点を 不問にするには 裏があるはずです。

それは JR貨物を儲けさせるためなのか、 放射能を全国に拡散させるためなのか、 謎は 深まるばかりです。

その点、 昨日の 「 ひこね ピースフェスタ 」 の 懇談会で聴いた小出裕章さんの話は、

簡単明瞭で 誰が聞いても すっきりと 納得できるものでした。

その要旨を紹介します。


 いま、 日本の国は、 放射能で汚れたガレキを 全国にばら撒いて、 それぞれで 始末をしろと 言っている。

それは、 放射能に向き合う時の原則に 反しています。

放射能で汚れた物というのは、 現場で 出来る限りコンパクトに閉じ込めるというのが 原則ですので、

日本の政府が やろうとしていることは、 全く 話にならないほど 間違えたことを やろうとしている。

ですから、 どこの自治体でも、 そんな物を 受け入れては 本当は いけない。

ですから、 私は 明確に 「 反対だ 」 と 言っています。

では、 「 どうすれば いいか 」 と いうと、

汚染したガレキがある現地に 専用の焼却炉を作って、 そこで焼くというのが 原則だと思います。

そして 焼却をしてしまうと、 放射能の濃度の 大変 高まった焼却灰が 出てくるので、

その焼却灰を コンパクトに 集めて保管する。

保管する場所は、 東京電力の敷地だ と 言っている。

それが、放射能に 向き合う時の、 原則に のっとった 唯一のやり方だと、 私は 思います。

ところが、 日本の政府というのは、 それを 全然やろうとしない。

本当に でたらめな政府だと 私は思います。

やらないがために 今、 汚染したガレキが そのまま 山積みになってしまっている。

山積みになった状態で 放置しておくと、 その周辺の 住民たちが 今 現在も 被曝している。

 この事故が起きてしまった後に、 私のやりたいことは ひとつだけで、

「 子どもを 被曝から 守りたい 」 と いうことなんです。

その子どもというのは、 全国 どこの子どもも守りたい、汚染地の子どもだって 私は 守りたい。

ですから、 子どもの被曝を トータルとして どこまで減らせるか ということが 勝負だろう と 私は 思ってます。

この でたらめな政府が 何もやらない時に、 汚染地の子どもたちが 被曝し続けるということは、

私にとっては 到底 許しがたいことなので、 ばんやむを得ないので、

汚染ガレキを 全国で 受け入れることは 仕方がないと 発言して、 皆さんから 怒られ続けているのですが、

ただ、 その時には 二つ条件がある と 言って、 必ず条件を つけている。

ひとつは、 今 ある焼却施設で そのまま焼いてしまうと、 セシウムが 環境汚染を 引き起こす可能性が あるので、

今 ある焼却施設で そのまま焼いては いけない。

焼く場合には、 排気系統に放射性物質が出て行かないことを、きちっと現場で 確認しない限りは 焼いてはいけない。

二つ目の条件は、 出て来た焼却灰は 今 現在は それぞれの自治体で勝手に埋めろと言っているが、

そんなのは 放射能を取り扱う原則に抵触するので、

焼却灰は 全て 東京電力の敷地に 戻す と いうそのルートをつけてからでないと やってはいけない。

この二つの条件が 満たせるようになるように、 各地の住民の人たちも 行政や国と ちゃんと 闘って、

自分たちも被曝をしない、 そして 汚染地の子どもたちの被曝も減らせるという、

そういう闘いをして欲しいというのが 私の願いです。


毎日新聞(5月16日)によると、県内では 高島、 米原長浜市 と 湖北広域行政事務センターが ガレキの受け入れを検討、

近江八幡市が 焼却灰の埋め立てを 検討しているそうです。

埋め立てた後、 焼却灰の浸透、 飛散によるびわ湖、 広大な農地の 放射能や有害物質による汚染が 心配だ と いうことで、

放射能から 子どもと びわ湖を守る集会  あかん ! 震災がれき 焼却灰 埋め立て 」 が 開かれます。(こちら


近江八幡市文化会館 で 6月16日(土) 13:30〜16:00                              

参加費 : おひとり 500円

第1部
◎報告 科学者からの警告 〜 震災がれき広域処理の問題点 〜 
 講師 : 畑 明郎さん (日本科学者会議滋賀支部

◎基調講演 −「放射能内部被ばく」による健康障害について− 
 講師 : 橋本 百合香さん (小児科医師)
    講師紹介
2011年3月、東京で被災。6月より福島県の他、東北、関東の子ども達と両親の健康相談、
診察を行っており、日本で最も多く福島原発事故後の子どもたちの健康状態を診察している。

第2部
◎焼却灰受け入れ問題と本当の被災地支援  
      青田 勝彦さん  福島からの訴え(南相馬市の被災者)
      山梶 英子さん  被災地支援の取り組み(暮らしを考える会)
      八木 美砂子さん 被災者支援の取り組み(保養キャンプ)

◎止めようがれき・守ろうびわ湖・今私たちにできること

主 催:がれきの放射能から子どもを守る会・はちまん
賛 同:日本科学者会議滋賀支部、暮らしを考える会、よつ葉ホームデリバリー京滋、
         おんぶひもの会、ネットワークあすのわ・がれきをちゃんと考えるプロジェクト