福島原発事故を教訓に 早川篤雄住職の講演 ―滋賀報知新聞
8月26日付け 「滋賀報知新聞」の記事を紹介します。(こちら)
福島原発事故を教訓に
早川篤雄住職の講演
立地4町の復興はあり得ない
国民一人ひとりが危機感共有
福島第一原子力発電所から15キロ圏内にある福島県楢葉町の宝鏡寺住職、早川篤雄さんが19日、
東近江市八日市金屋2丁目の金念寺で開かれた 「 原発問題講演会 」 で、被災地の状況を語った。
テレビや新聞では伝わらない真実に、 市内外から参加した約70人の聴講者 は、原発事故の恐怖と理不尽さ を 改めて知った。
早川さんは 地元に原発 ( 福島第二原発 ) が 立地されることを知り、 昭和40年 ( 1972 ) から 原発反対運動を開始。
東京電力第一原子力発電所の第一号機が 39年に営業運転開始して、 40年目に 事故が起きた。
「 原発事故の被害は広がり続け、いつまで続くか誰も予測できない 」 不安と、 「 終息したとしても、 終わりではない 」 原発問題の深刻さを訴え、
「 原発立地4町 (大熊、双葉、楢葉、富岡) の 復興は あり得ない 」 と 断言した。
その理由として、 原発の後始末 (廃炉、メルトダウン処理、最終処分場など) が 何年先になるかわからないことをあげ、
政府の言う 「 中間処分場を地元に30年 」 にも 「 ふざけた話だ 」 と 一蹴し、
最終的には 「 (原発) の墓場に ならざるを得ない地域に、 住民が 元通りの暮らしを戻せるとは考えられない 」 と 実態調査などを示して、
「 立地4町 と その隣接地は 一旦消滅した 」 との思いを述べた。
自主避難を含む避難者 16万3000人。 着の身着のままで 家族や地域が ばらばら。
避難が原因で死亡した病人、老人、障がい者、新たに病気になった人も 多数出て、 生きがいをなくして 自殺者も多く、 「 全体像は つかめていない 」 のが 実態という。
「 チェルノブイリのあとは 日本と言われていて、 実際に 原発事故が起きた。
国民一人ひとりが 関心もっていただき、 福島の教訓を 生かしてもらいたい。
『 次も 日本 』 に なっては ならない。
福島第一原発が あの段階で 止まったのは 奇跡。
もし 福島でなかったら どうなっていたかといった危機感を 共有してもらいたい 」 と 強調した。
安全な終息には 第一線で働く労働者 ( なれた人ではなく 素人が ほとんど ) の 被ばく管理と労働報酬 ( 危険手当 ) が 十分保障されることが 絶対条件で、
「 国民 が 監視する必要がある 」 と 提言した。
現在、 福島原発事故被害補償法の制定 や 福島県原発被害補償基金の創設、 損害賠償を廃炉完了まで 支給することなどを求める運動も 展開している。
福島の実情を語る早川住職――東近江市の金念寺で――