厚労省と経産省への要請行動
全日本年金者組合は、5・25全国行動中央集会の前後に、厚労省・経産省に要請行動を行った。
中央の官僚が何を考えているかよく分るので、交渉の概要を紹介する。
<厚労省要請>
1.年金支給額の0.4%引き下げについて
<厚労省回答>
法令に基づき、平成17年度規準で措置し、0.4%引き下げとした。
総務省の物価指数に基づいて、措置している。
高齢者の実態に応じてと、例えば生鮮食品物価に合わせるとすれば、農作物の作柄など、別な問題も起こってくる。
<年金者組合の発言>
高齢者の生活実態を踏まえるべきだといっている。
2000年から3年間の据え置き措置は、当時の経済状況・高齢者の生活実態を踏まえたのではないか。
2.無年金・低年金者への措置について
<厚労省回答>
集中検討会議で、具体的な検討を進めている。
3.受給資格期間短縮について
<厚労省回答>
短縮する方向で検討中。
ただ具体的に何年にするとは言っていない。
10年にすれば、無年金者は減るが低年金者が増えるという問題が起こる。
<年金者組合の発言>
15年、20年と保険料を払い続けていた人が無年金になっている実態を見よ。
10年にすれば、今まで無年金だった人が2万でも3万でも年金を受給できるということは大きい。
低年金者が増えるというとらえ方はおかしい。
4.年金の毎月支払いについて
<厚労省回答>
事務的な措置が大きく、被災地だけだとしても、すぐには対応できない。
天引きしている介護保険料の処置などシステムの変更、自治体業務の変更など、膨大な実務が必要になる。
<年金者組合の発言>
こうした要請の場で、「平成23年度までには、一定のめどをつける」という回答があった。
どうなっているのか。
5.最低保障年金について
<厚労省回答>
どのようなものにするか、民主党マニフェストなどの案なども含め検討中。
6.財源について
<厚労省回答>
財源については、消費税を含め、総合的に検討している。必ずしも消費税だけとは考えていない。
7.災害対応について
<厚労省回答>
現認届がなくとも支給を継続する、保険料払込期日の延期など、一定の規制緩和を行っている。
<経産省回答>
津波で冷却設備の機能が失われ、地震発生当日夕刻までに保安院に対策本部を立ち上げ、さらに内閣府に総合本部を立ち上げ、今日に至っている。
現状は、楽観はできないが、少しずつ事故原因も解明でき、爆発など危険が起こる状況は脱している。
2.被災地への支援について
<経産省回答>
3月29日に、各関係省庁から80名のメンバーが出て、生活支援チームを立ち上げた。
仮設住宅建設を急いでいるが、場所がなく難渋している。
医療費負担、介護の自己負担なども免除している。
仕事を失っている人に、被災地の見回りの仕事を斡旋するなど、職を補償する努力もしている。
<年金者組合の発言>
被災地は、農漁村地域だ。生活基盤を根こそぎ奪われている。
当面のアルバイト程度の仕事斡旋などではなく、抜本的な地域の立て直し策を考える必要がある。
3.原発依存からの脱却について
<経産省回答>
原発の新設計画14基については、ゼロにすることも含め検討している。
自然エネルギー、再生可能エネルギーへの依存率を高めるのは当然のことだ。
スピードを速めたいが、太陽電池は天候・夜間などへの対応上、蓄電機能を高めなければならない、
風力は適地が限られるが海上への設置なども検討している、
地熱は世界第3位のエネルギーを持つが自然保全とぶつかる問題があるが有望な資源だ、
バイオマスは原材料を収拾するのに新たに道路を建設しなければならないなど、課題は多いが、実現に向け検討を進める。
<年金者組合の発言>
自然エネルギーへの転換を検討されているのは、大いに歓迎するところだが、そのためには、国のエネルギー関連予算を相当必要とする。
補正予算・来年度予算大綱にむけて、どう検討しているのか → 回答なし。
4.原発の安全確保について
<経産省回答>
地震は予測の範囲だったが、津波が予測のレベルを超えたもので重大な事態になった。
メルトダウンについても、想定を超えた津波被害で、想定外だった。
<年金者組合の発言>
地震の安全レベルを、どう設定していたのか。具体的な数字も出せないのでは納得できない。
今回の事態の原因を津波にのみ求めるのは問題がある。
女川も被害を出している。学者・研究者にも、津波にのみ起因する論には批判をもつ方もいる。
地震国といわれる日本で、原発安全地帯はあるのか。あるとすればどこか。
5.東電の指導・監督、情報の混乱について
<経産省回答>
4月下旬以降、毎日、監督権限をもって、東電に情報を提供させている。
現在、東電と保安院共同の「総合対策室」を立ち上げ、分析・検討を共同で行い、公開もするなど、透明性を高める努力をしている。