「 年金支給開始年齢引き上げ 」 提案に 抗議する声明
全日本年金者組合中央本部は10月12日、「 年金支給開始年齢引き上げ 」 提案に抗議する声明を出しました。
許すな生存権脅かす歴史的大改悪 「年金支給開始年齢引き上げ」提案に抗議する声明
去る11日、厚生労働省は、 「 社会保障 ・ 税一体改革成案 」 にもとづき
「 年金支給年齢の引き上げ 」 を社会保障審議会年金部会に提案しました。
これは、先の 「 デフレ経済下における 『 マクロ経済スライド 』 の適用 」 に続く許しがたい大改悪であり憤りをもって抗議し 撤回を求めるものです。
提案は、 現在65歳に向けて段階的に引き上げ途中の厚生年金 ・ 共済年金の引き上げを前倒しして70歳を見通し68歳まで段階的引き上げなど3案の選択肢を示すものです。
現在の引き上げに合わせて高齢者の雇用を保障するという 「 高齢者雇用安定法 」 などがありますが、
現実には希望者のすべての雇用が保障されてはいません。
今後の支給開始年齢引き上げに合わせて雇用が確保される保障はありません。
また、 病弱で働けない人などの生活はどうなるのでしょうか。
老齢基礎年金の支給開始年齢は 現在 65歳です。
それを待ちきれず 減額を承知で繰り上げ支給を選択する高齢者が少なくなく、 それは、 老齢基礎年金だけの受給者 約860万人の実に 43.9% に のぼります。
支給開始年齢の引き上げは 高齢者をさらに追い詰め路頭に迷わせかねないものです。
2004年 「 年金改革 」 では 「 100年安心の改革 」 と 宣伝されました。
にもかかわらず 年金財政は なぜ行き詰まったのでしょうか。
それは、 構造改革のもと 非正規労働者を増大させ賃金を低下させてきたからです。
長期にわたる賃金の低下は 世界で 唯一日本だけです。
年金財政は、 賃金引上げによってこそ 安定させることができるのです。
年金は、 いうまでもなく 国民の老後の生存権を保証する大切な制度です。
「 デフレ経済下の 『 マクロ経済スライド 』 適用 」 とともに 「 支給開始年齢引き上げ 」 は、 憲法29条の財産権を侵害し、 25条の国民の生存権を脅かすものと いわなければなりません。
私たちは、 この歴史的大改悪を政府が断念するまで 国民各層と力をあわせて 全力で運動を強めます。
2011年10月12日
全日本年金者組合 中央執行委員長 篠塚多助