生活保護 の 「 常識? 」
昨日、 滋賀県庁前での 「怒り の 座り込み集会 」 で、滋賀第一法律事務所の近藤公人弁護士が、
生活保護への攻撃について、解説しました。
生活保護については 憲法で 「 健康で文化的な最低限度の生活 」 を 権利として 保障しています。
単なる 「 最低限度の生活 」 では なくて、 「 健康で文化的な生活 」 をする権利です。
「 朝日訴訟 」 で、 最高裁 が 初めて生存権について 判断しました。
ここでは、 簡単に言えば、 「 憲法25条 に 基づいて 給付を求めることはできないけども、
生活保護という具体的な法律があるんだから、 この法律に基づいて 権利として保障します 」 と いうことです。
だから、 生活保護の法律 が 廃止されない限り、 具体的 に 請求できるということです。
生活保護法 の 第一条 に 目的を
「 憲法25条に規定する理念に基き 、国が 生活に困窮するすべての国民に対し、 その困窮の程度に応じ、
必要な保護を行い、 その最低限度の生活を 保障するとともに、 その自立を助長することを 目的とする 」 と 書いてあります。
ここでは、 最低限度の生活を保障するだけではなくて、 その自立を助長するということで、
最低限度の生活だけでなく、 さらに 次のステップのための保障を 目的としています。
この目的を下回る給付は、憲法違反になってきます。
現時点で、感情的なバッシング報道が絶えずに、今年の年末に 生活保護法の改正が 言われています。
生活保護利用者が 過去最大に増えていると 言われています。
確かに、 1951年度には 204万6千人でしたが、 昨年度は 205万人に増えています。
しかし、人口も 増えています。( 1951年度が 8457万人、昨年度が 1億2700万人 )
利用率は 1951年度 が 2.4% だったのが、昨年度 は 1.6% です。
生活保護利用者の人数 は 増えているが、 利用率 は 下がっています。
また、 海外よりも多いという噂があるので、 2010年度の利用率を比べてみます。
ドイツ 9.7% フランス 5.7% イギリス 9.27% スウェーデン 4.5%
日本は 1.6% で、こんなに低い。
窓口で追い返したり、バッシング報道のために、日本の場合は 申請しない人が 多いために、
「 捕捉率 」 も 低くなっています。
2010年度 の 捕捉率
日本 15.3〜18% ドイツ 64.6% フランス 91.6% イギリス 47〜90% スウェーデン 82%
タレントの母親や 維新の会所属の大阪府議の親族が 生活保護を受けていたという報道が ありました。
でも、これは 「 不正受給 」 では ありません。
生活保護というのは、 扶養義務者が適正な仕送りをすることを保護の適用の前提条件には していません。
確かに、 民法では 、 「 直系血族や兄弟姉妹は 扶養義務を負う 」 と 書いてありますが、
現実に 「 強い扶養義務 」 を 負うというのは、 夫婦ですね。
あと、 未成熟の子どもに対する親、 これは 「 強い扶養義務 」 を負います。
成人した親子や兄弟姉妹は、 社会的にふさわしい生活をした上で、 なお 余裕があれば援助しましょう と、
こういう義務 を負うに とどまっています。
家庭裁判所 も 当事者間で話合いが決まらなければ、 家庭裁判所が 「 どのくらい負担しなさい 」 と いう決定をしています。
では、本当に、 「 不正受給 」 が 増えているのかという問題 が あります。
やくざが受給を受けていたという報道 が されています。
こういうのには 厳しく対応すべきですが、 実際には、 「 不正受給 」 件数 は 2% 以下です。
金額でも、 全体の 0.4% に 過ぎません。
件数 で 2% 以下、 金額 で 0.4% の 「 不正受給 」 と 言われるものも、 全部が 「 不正 」 では ありません。
中には、 高校生のアルバイト料を申告する必要がないと思っていた、 こんなのも 今の法律では 「 不正受給 」 に 当たります。
このように 社会的に見れば 「 不正 」 でないものも、 「 不正受給 」 に 含まれています。
「 働けるのに 働かない人が 受給しているのではないか 」 と 言われています。
20歳から 59歳までの 受給者 の 3分の1 が、 現実には 働いています。
しかし、 最低限度の生活費以下の収入なので、 生活保護をもらっているというのが 現状です。
次に、 「 生活保護費 で 財政 が 破綻するのではないか 」 と 言われています。
各国の社会扶助費 の GDPに占める割合 を 見ます。
日本は、OECD加盟国 の 平均 3.5% に 比べると、7分の1 の 0.5% に 過ぎない。
諸外国に比べると、 極端に 低い数字 に なっています。
生活保護の基準 が 下げられる と どんな影響があるか。
一番の問題点としては、 住民税の非課税限度額 が 下がります。
そうすると、 今まで 無税であった人 に 課税されます。
その結果、 介護保険料、 医療費上限、 保育料など の 負担 が 増えていきます。
中には 「 生活保護は利用しないから 関係ない 」 と 思っている人 が いると思いますが、
生活保護の基準 が 下げられる と 皆さん方にも 影響する と いうことです。