井戸謙一弁護士 が 「 脱原発ウォーク ひこね 」 で 訴え ( その2 )

9月21日の 「 脱原発ウォーク ひこね 」 で、井戸謙一弁護士 が 話された要旨(その2)です。

 
福島の事故から 1年半が 経過しましたが、 今でも 1時間当たり 0.3 〜 0.5マイクロシーベルト

年間にすると、2ミリシーベルト、 3ミリシーベルト、 高い所は 5ミリシーベルト位 の 線量 が あります。

福島は これから どうなるかということを 考える時に、 一番参考になるのは チェルノブイリ ですが、

チェルノブイリ では 5ミリシーベルト以上の所は 全て 強制的に 避難させた訳ですね。

それから、 1ミリシーベルト から 5ミリシーベルトの所は 「 権利避難 」 と いって、

避難を希望する人には 行政が ちゃんと 支援しますと、 居たければ 居てもいいけど、 という政策 を とった訳です。

ところが、 日本 は 20ミリシーベルトまでは 避難させない、避難に対しても殆んど援助しない、

「 避難したけりゃ 勝手にしろ 」 そういう政策です。

だから、 これから 福島の人たちの健康被害 が どうなるのかというのは 大変な問題ですが、

チェルノブイリ健康被害 が どうだったかということについて、

国際的には、「 因果関係があるのは、甲状腺癌だけだ 」 と いうことになっています。

ところが 実際には、放射能によって 心臓にセシウムがたまって心筋梗塞を起こしたり、

膀胱にたまって 膀胱炎とか膀胱癌になったりとか、色んな病気が 報告されています。

基本的に 免疫が弱まり、色んな感染症に罹り易くなる、それを 「 チェルノブイリ エイズ 」 と 言われていますが、

要するに、エイズのような症状 で 色んな病気になる。

半年くらい前に、ウクライナ の ステパノア と いうお医者さん が 日本に来て、 全国 で 講演して回りましたけど、

ステパノアさん の 話では、 いま ウクライナ全土 で、 健康な子ども、 病気を抱えていない子ども は 2割 しかいない、

8割の子どもは 何らかの慢性疾患 を 抱えている と いう話でした。

実は 最近、福島の郡司さんという方を含む7〜8人のお母さんたちが、

「 自分たちの今後を考えるために、是非、チェルノブイリ の 現状 を 見てきたい 」 と いうので 行ってきました。

最近、 帰って来られ 話をしてはるのですが、

チェルノブイリ原発から 70キロ離れた保育園 に 行ったところ、子ども達 が 全然 元気 が無い と いうんです。

保育園の先生 に 訊いたら 「 この辺りの子どもで 健康な子 は 一人 も いません。100% の 子ども が 皆、病気 を 抱えています 」

そういう話だったそうです。

郡司さん は 帰ってきて 「 もう、 やはり、 こんな所 に 居てられない。子ども達 を 逃がさなければいけない 」 と、いろんな所 で 話をされています。

実は、 「 福島集団疎開裁判 」 という子ども達 を 避難させろという裁判 を してるんですが、

一審は 福島地裁 郡山支部 で 負けまして、 仙台高裁 に 抗告中 で 10月1日 に 審尋 が開かれます。

そこで 我々は、 「 このまま放っておいたら 郡山、福島 は 、今の ベラルーシウクライナのように なってしまいますよ 」 と主張していたのですが、

「 もう 既に なりつつある 」 と いう色んな新しい変化 が 表れています。


福島で、 子ども達 の 甲状腺 の 超音波検査 を 順次しています。

予定では、2年かけて 福島中 やるんですが、

最初は、 原発に近い 「 浜通り 」 の 3万8000人の子ども の 検査 を 昨年やりました。

その結果、 袋が出来て 中に膿(うみ)みたいなものが溜まる「 嚢胞 」 (のうほう)、

それから 「 結節 」 という「 しこり 」 を 抱えている子ども が 35%ありました。

「 結節 」 や 「 嚢胞 」 を 認めなかった者 が 64.2% (A1判定)

5.0ミリ以下の 「 結節 」 や 20.0ミリ以下の 「 嚢胞 」 を 認めた者 が 35.3% (A2判定)、

5.1ミリ以上の 「 結節 」 や 20.1ミリ以上の 「 嚢胞 」 を 認めた者 が 0.5% (B判定)、

合わせると 「 結節 」 や 「 嚢胞 」 が ある子ども が 36% 近くいる訳です。

この数字が、 どれだけ 異常なのかという事 が 問題なのですが、

普通の健康な子どもの甲状腺 が どうなっているかという検査 は しませんから、

余り 正確なことはわからない、 ただ 、いくつか データ が あって、

いま 福島 で 悪名高い 山下俊一という医師 が 2000年に、

長崎の子ども 200人 に 超音波検査したこと が ありました。

その時に 「 嚢胞 」 「 結節 」 が 認められたのが 2人、だから 1%。

それ以外に、 アメリカ とか チェルノブイリ周辺でも 同じようなデータ が あるんですが、 大体 1% です。

それが 福島では 36%位 ある。

「 これは 大変な 問題ではないか 」 と 、 たくさんの人間 が 大騒ぎしたんですが、

マスコミ は どう伝えたかというと、

「 この検査の結果、 99.5% の 子ども に 問題 が 無いこと が わかった 」 と 伝えた。

この検査をした福島県医大 が 記者会見で

「 5ミリ以下の 『 結節 』 や 20ミリ以下の 『 嚢胞 』 は 問題 が 無い、

再検査の必要があるのは、B判定 ( 5.1ミリ以上の 『 結節 』 や 20.1ミリ以上の 『 嚢胞 』 を 認めた者で 0.5% ) だけだ 」

と、発表したんです。

すると マスコミは、 「 99.5% の 子ども に 問題 が 無かった 」 と 報道しました。

それに 対して、たくさんの人 が 怒って、さすがに 政府 は 放っておけなくなって、

それでは 健康な子ども達 に 「 嚢胞 」 「 結節 」 が どれだけあるのか 調査をする、

放射能の影響の無い他の都道府県 で 調査をするということを、 1ヵ月位前 に 発表しました。

その後、 9月11日 に 今年度の調査結果 が 発表されました。

福島市内の子ども 4万2000人 が 対象です。

これを 見ると、さらに 数字 が 増えているんですね。

5.0ミリ以下の 「 結節 」 や 20.0ミリ以下の 「 嚢 胞」 を 認めた者 が 43.1% (A2判定)、

5.1ミリ以上の 「 結節 」 や 20.1ミリ以上の 「 嚢胞 」 を 認めた者 が 0.6% (B判定)、

44% 近い子どもに 「 結節 」 「 嚢胞 」 が ある。

年齢と性別による内訳 を 見ると、

6歳 から10歳の女性は、 54.1%、 過半数の女の子に 「 嚢胞 」 「 結節 」 が ある。

11歳から 15歳、 小学校高学年 と 中学生 の 女性 は 55% を 超える女の子に 「 嚢胞 」 「 結節 」 が あるということです。

去年のデータ は 原発近くの子ども達ですが、 今回のデータ は 福島市内の子ども達です。

何が 原因なのか 解りませんけど、放射能に攻撃されてる期間 が 半年間 増えていますから、

それが 原因なんではないかと 思います。

これが、 直ちに 甲状腺癌になる訳ではないけど、

では、 何割位 が 甲状腺癌に発展していくのかというのは 、 余り、 はっきり 分かっていません。

ただ、 チェルノブイリ の 例では、この 「 結節 」 「 嚢胞 」 から 6%とか、 そういうデータ も あります。

どっちにしても、 甲状腺に異状が生じているのは 明らかですから、

「 こんな環境で 子供たち を とても 生活させることは 出来ないだろう、

緊急に 集団で 避難させる必要があるだろう 」 と いうふうに考えています。

( 続く )